デヴィッド・フィンチャーの描く作品とは?その特徴は?
こだわりが強すぎて、1シーンを100テイクも撮ったとか、出演者と喧嘩が絶えなかったとか、撮影に伴うエピソードに事欠かない”鬼才”「デヴィッド・フィンチャー」。
彼と言えば”銀残し”を利用し色彩をあえて少なくしたたダークでどことなく”古臭い”陰影の強い雰囲気。そしてその”空気感”で展開されるシリアスで重厚なシナリオ展開。それこそが「デヴィッド・フィンチャー」の真骨頂。
現在の社会に対してのアンチテーゼというか、反権力的な要素が多いのも彼の作品の大きな特徴。
どの映画も先が見えない展開に、登場人物の深い心理描写。思いもつかない過激な展開にとどの作品も終始ハラハラしながら観る事が出来る”ハズレ”の無い映画監督。
デヴィッド・フィンチャー作品
デヴィッド・フィンチャーが手掛けた”監督”作品を一挙にご紹介。
私が思う、クデヴィッド・フィンチャー”らしさ”やざっくりとした「作品紹介」「あらすじ」と合わせて確認してみて下さい。気になった作品があれば一度観てみて、彼の作品に是非ハマってみては?
※作品一覧は”監督”作品のみです。
※IMDb(Internet Movie Database)/Amazonのスコアも記載しておりますので、併せて確認してください。
『エイリアン3 』1992年
作品紹介
デヴィッド・フィンチャーの初監督作品。
とはいえ、有名な『エイリアン』シリーズよ言うだけあって既定のキャラクターや世界感があり、自身でも”あれは自分の監督作ではない。やりたいことをまったくできなかった。”と言っているほど、彼の作品の中では異端な作品。
『エイリアン2』の主要キャラを序盤で亡き者にし、続編を作らせる気のないエンディングなど、シリーズの中で最も酷評された作品です。
主演のシガニー・ウィーバーとも喧嘩が絶えず、しかも監督がレニー・ハーリ→ヴィンセント・ウォード→デヴィッド・フィンチャーと変わり、合わせて設定が二転三転し納期が非常に短く、評価も合わせて「もう一本映画を撮るぐらいなら、大腸ガンで死んだ方がマシだ!」と初作品で引退を匂わすコメントをしているほど混沌とした作品。
あらすじ
『エイリアン2』での惑星LV-426のエイリアン殲滅後、生き残った人々は地球に宇宙船スラコ号で帰還するはずだったのだが、スラコ号に謎の事故が発生。スラコ号から切り離された脱出艇は流刑惑星フィオリーナ161に墜落し、リプリー(シガニー・ウィーバー)以外が亡くなってしまう。
そんな中、脱出艇に潜んでいたフェイスハガーによってエイリアンが生まれ、フューリー内で暴れだす。フューリーで刑務にあたっていた凶悪で強靭な囚人たちも、エイリアンには向かうすべなく、どんどん倒されてしまう。リプリーは残った囚人達と力を合わせてエイリアンを倒そうと立ち上がる…。
『セブン』1995年
作品紹介
『エイリアン3』で監督業に見切りをつけそうになった、デヴィッド・フィンチャーが3年越しに発表。この作品が全米で4週連続 興行成績1位を獲得。デヴィッド・フィンチャーの名前を一躍有名にした。
この後もデヴィッド・フィンチャー作品に多く出演するブラッド・ピットもこの作品で監督作品初主演。
ミルトンの『失楽園』やダンテの『神曲』をベースに”七つの大罪”を題材にした、暗く猟奇的なサイコ・サスペンス映画。
凄く暗い。独特の世界観。どんどん変わっていく登場人物の内面。視聴者に結末を委ねるエンディング。2作目にして完成形。
あらすじ
舞台は”治安の悪い”ある大都会。
そんな街に、あえて志願して転属してきた新人刑事ミルズ(ブラッド・ピット)と定年間際の刑事サマセット(モーガン・フリーマン)は”胃の内壁が裂けるほど”スパゲティーを食べさせられて殺されるという、猟奇的な殺人事件を調査していた。
そんな中、また猟奇的な殺人事件が発生。現場にあった”GREED(強欲)”という文字から前の事件と合せて”七つの大罪”になぞらえた連続殺人事件である事が発覚する。
7名の犠牲者を出す前に犯人を確保する事が出来るのか?
果たして犯人とは?その動機とは?
『ゲーム』1997年
作品紹介
デヴィッド・フィンチャー監督3作品目の本作。だがしかし本当は第2作目の予定だったのだがブラッド・ピットのスケジュールによって先に『セブン』を撮ることになり3作品目に。
ただ、『セブン』が大ヒットしため、予算も増加し当初のスケールよりグレードアップ。また『セブン』を観た人からすると”観ているからこそ”思いつかないような展開に騙される様な作品に仕上がっている。
こんなにも”緊張”と”緩和”の落差の大きい映画も無いのではないかと思う。いい意味で”デヴィッド・フィンチャー”に裏切られます。
絶対に1度見たら、忘れられない作品。
あらすじ
大企業の経営者のニコラス・オートン(マイケル・ダグラス)は、48歳の誕生日プレゼントとして弟のコンラッド・オートン(ショーン・ペン)から「CRS」という会社が提供する謎の”ゲーム”をプレゼントされます。
当初乗り気では無かったニコラスでしたが、”人生を変える体験”という評判を耳にして参加すること。するとニコラスの周りで次々に奇妙な出来事が起こり始め、自身の命の危機まで招く展開に。
”ゲーム”とは一体?”CRS”とは?
なぜコンラッドはこの様な事を仕組んだのか?
ニコラスは生きて”ゲーム”をクリアできるのか??
『ファイト・クラブ』1999年
作品紹介
約20年以上経ったても色褪せず、熱狂的なファンの多いデヴィッド・フィンチャー監督の4作品目。”デヴィッド・フィンチャー”=『ファイト・クラブ』というイメージを持っている人も多いハズ。
これまで社会にある常識とかモラルなんていうものを否定し、資本主義とか既存勢力に反撃を。その中で変わっていく登場人物の心理描写。誰が誰で、何が何なのか。十人十色のエンディングの解釈。”これぞ”デヴィッド・フィンチャー作品。
どれから見たらいいか分からない方は、この作品から。名作で傑作。
あらすじ
平凡でどこか満たされない主人公(エドワード・ノートン)の”僕”は大手自動車会社でリコール調査のために全米を飛びまわっている”不眠症”の会社員。
そんな彼は出張中に飛行機の中で自分と正反対の危ない男、タイラー・ダーデン(ブラッド・ピット)に偶然に出会う。出会った帰り自宅に帰ろうとすると自宅が爆発事件に巻き込まれ行く当てのなくなった彼はタイラーに”なぜか”連絡を入れる。2人は正反対ながら意気投合しこの日を機に一緒に過ごす事になり、2人は”ファイト・クラブ”を主催するようになる。
タイラーと過ごすようになって彼の”今まで”の日常は音を立てて崩れ、血生臭く暴力と、渦まく狂気に巻き込まれていく。
2人はどこへ向かっているか?2人は何を成し遂げるのか…。
『パニック・ルーム』2002年
作品紹介
N.Y.の一軒の家。その家に備えられたパニック・ルーム(緊急避難用の部屋)。そして家に住む親子と侵入者3名とデヴィッド・フィンチャー作品の中で最もシンプルなプロットで描かれた作品。
一夜の物語を映画にしているだけあって”濃く”そしてどのシーンも色彩が”暗い”。終始ドキドキさせられるサスペンス映画。
主演は当初ニコール・キッド・マンの予定でしたが、ジョディ・フォスターに変更になった経緯があり、クレジットにもありませんが声のみ出演していたりします。
あらすじ
夫と離婚して間もないメグ(ジョディ・フォスター)は、11歳の糖尿病を患った娘・サラ(クリステン・スチュワート)と共に新居での新しい生活を始めようとしていた。
引越しを決めたのは、N.Yにある最近亡くなった富豪の住んでいた多邸宅。本来であれば、引っ越しは法律上まだ後になる予定なのだが、販売業者のミスでメグ達は予定より早く入居してしまのだった。
引越しをした夜、メグ達が入居していることを知らずに、富豪の遺族で甥のジュニアが(ジャレッド・レト)仲間を引き連れて邸内に侵入する。
実は、この邸宅のパニックルームには隠し財産が隠されていたのである。
そんな事を知らないメグは監視カメラで侵入者に気づくと娘とパニック・ルームへに逃げ込んでしまう。
パニックルームの隠し財産を盗み出そうとする強盗達。
強盗から逃げるために親子で立て籠ったパニックルーム。
2組の違った思惑がパニックルームで交差する…。
コメント