真実は小説より奇なり。良く知られた一節ですが古今東西見渡して見れば、そんな”奇”怪な犯罪者が世界には多く存在しています。”なぜ”彼らは猟奇的で異常性の高い犯罪を犯したのか?その一端を映画で覗いてみませんか?
実際にあった凄惨な事件や本当にあったの?と誰もが驚く事件。そして気分が悪くなるような残虐な事件を題材にした映画がある事件をあくまでも”主観でランキング形式で紹介していきます。
第10位:切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)
1888年にロンドンで起こった猟奇殺人事件であり、未解決事件。
犯罪史上、最も有名なシリアルキラー(1か月以上にわたって一定の冷却期間をおきながら複数の殺人を繰り返す連続殺人犯)であり、色々な書籍や漫画・映画で取り扱われる犯罪者。あまりにも有名過ぎるので10位。
8月末から11月初頭の約二ヶ月の間に主に売春婦を狙い5人を殺害。(関係を疑われる事件も多く、それらも本人の犯行と仮定すれば約8人から20人を殺害している)殺害した人物の身体をバラバラにしてその臓器を持ち去るという猟奇的な手口や、新聞社に犯罪声明を送り付けたりと、「劇場型殺人」の元祖と呼ばれる存在。因みに「切り裂きジャック(Jack the Ripper)」という名称は、犯人を名乗る人物がセントラル・ニュース・エージェンシー宛てに書いた手紙(「親愛なるボスへ」)で自称した名前であり、メディアが取り上げた事で定着した。
最初の被害者が42歳の女性、次に47歳の女性で子宮と膀胱が切り取られ持ち去られ、その後2名殺害後、最後に比較的が若いメアリー・ジェイン・ケリー(25歳)が原型を留めない程切り刻まれ発見されている。また、犯行は週末または祝日に集中し、また狭い範囲で行われていることから、切り裂きジャックの正体は定職に就いた地元の住民説や臓器を効率よく解体しているために「医者説」や「食肉業者説」、女性が警戒せず家に入れていることから「女性説」など幅広い犯人像が描かれ、実際に名前が挙がった容疑者の数は100人以上に上ったが犯人の検挙には至っていない。
なお、あまりにも有名過ぎて模倣犯による犯行と思われる事件も多く発生し、1964年から1965年にかけてイングランドのロンドンで起きた連続殺人事件の犯人にはジャック・ザ・ストリッパー(剥ぎ取りジャック)という名前が付けられている物もあり、こちらも未解決事件となっている。
「切り裂きジャック」がモデルの映画:『フロム・ヘル』
フロム・ヘル | |||
公開日 | 2001年10月19日(米国) | ||
2002年1月19日(日本) | |||
配給 | 20世紀フォックス | 上映時間 | 123分 |
監督 | アルバート・ヒューズ | 原作 | アラン・ムーア |
アレン・ヒューズ | エディ・キャンベル | ||
CAST | |||
フレッド・アバーライン警部 | ジョニー・デップ | ||
メアリ・ケリー | ヘザー・グラハム | ||
ウィリアム・ガル卿 | イアン・ホルム | ||
ネトリー | ジェイソン・フレミング |
▼あらすじ
1888年、ロンドン。赤毛の美女メアリ・ケリーと仲間の5人の娼婦たちはここホワイトチャペルで身を売ってなんとか生きていた。しかしある夜、仲間のひとりが何者かに襲われ喉をかき切られて殺されてしまう。さらに立て続けにもうひとりの犠牲者が出る。それは世に怖れられた切り裂きジャックのゲームの始まりだった。事件の捜査に当たったのはアバーライン警部。2年前に妻子を亡くして以来心を閉ざし、アヘンの幻覚に救いを求めて生きていた。だが、そんな彼もメアリの美しさに次第に心惹かれていくのだった。しかし、肝心の捜査は思わぬ妨害もあり遅々として進まない……。
出典:Yahoo!映画
「切り裂きジャック」をモデルにしており、時代背景や舞台はそのまま19世紀のイギリス。とはいえ、そのまま「切り裂きジャック」に対するサスペンス映画かと言えばそうではなく、フリーメイソン、エレファントマン、ロボトミー手術に予知能力など、色々と要素を詰め込んだホラーミステリーでありゴシックホラー。エンターテイメント性が高い作品。
サスペンスを楽しみたい!という人には斜め上な作品ではあるものの、ジョニー・デップにヘザー・グレアムといったキャスト陣や19世紀の薄暗い雰囲気が好きな人にはお勧めの映画。
第9位:ブラック・ダリア事件
「ブラック・ダリア事件」は、第二次世界大戦後の間もない1947年のアメリカで発生した殺人事件。
猟奇的な”犯罪”としてランクインさせているものの、殺害されたのはエリザベス・ショートという女性一人のみ。これだけ聞けば普通の殺人事件ですが、殺害方法が被害者であるショートを腰の部分で真っ二つに両断するという猟奇的な方法であり9位にランクイン。
当時としては、あまりにも衝撃的で猟奇的かつ、凄惨な殺害方法であり当時から注目を浴びた事件となり、ロサンゼルス市警察は大規模な捜査を開始。有名な”犯罪”として脚光を浴びたため初期捜査では合計で60回の虚偽の出頭があり、捜査全体では150人以上の容疑者を捜査したものの現在に至っても未解決事件のまま。
事件の名前となった「ブラック・ダリア」とは、殺害されたエリザベス・ショートの死後に付けられたニックネーム。そもそも当時の新聞では陰惨な犯罪に対して社内で各事件の被害者に心無いあだ名をつけていたようで、”ブラック・ダリア”は犯人を指すものでは無い。ショート自身は一度もこのあだ名で呼ばれた事が無いとも言われているが、カリフォルニア州ロングビーチの薬局の男性客がショートのことをそのようなニックネームで呼んでいたという話もあり真偽は不明。
事件が有名になったため、被害者であるショートに対して謂れの無い憶測(売春婦や同性愛者という内容)がメディアを介し飛び交うなど犯罪自体だけではなく、今なお続くメディアによる被害者攻撃の先駆けとなる様な事件であり、ショート殺害事件はアメリカの歴史上、最も残忍な犯罪と評されて、タイム誌は世界で最も有名な未解決事件の一つとしてこの事件が挙げられている。
「ブラック・ダリア事件」がモデルの映画:『ブラック・ダリア 』
ブラック・ダリア | |||
公開日 | 2006年9月15日(米国) | ||
2006年10月14日(日本) | |||
配給 | ユニバーサル映画 | 上映時間 | 121分 |
監督 | ブライアン・デ・パルマ | 原作 | ジェイムズ・エルロイ |
CAST | |||
バッキー・ブライカート | ジョシュ・ハートネット | ||
リー・ブランチャード | アーロン・エッカート | ||
エリザベス・ショート | ミア・カーシュナー | ||
ケイ・レイク | スカーレット・ヨハンソン |
▼あらすじ
1947年、LA市内の空き地で、女性が腰部分を切断された惨殺死体で発見される事件が発生。その女性、エリザベス・ショート(ミア・カーシュナー)はハリウッドで女優になる夢を見ながら哀れな最期を遂げたのだと判明する。LA市警の刑事、バッキー(ジョシュ・ハートネット)とリー(アーロン・エッカート)はその捜査にあたるが……。
出典:Yahoo!映画
ラック・ダリア事件の真実とリー(アーロン・エッカート)の過去に焦点を当てたサスペンス映画となっているが、情報量の多い原作(「ブラックダリア事件」の発生まで100ページ超)で描かれているシーンが映画というメディアの尺の都合上、どうしてもカットされているので少し急ぎ足な感じになってしまっている作品。
時間的に余裕があれば是非、原作のジェイムズ・エルロイの同名小説を読んでから観た方が◎。とはいえ「ブラック・ダリア事件」が気になる人は観ても損はしない作品。
第8位:カルロス・エドゥアルド・ロブレド・プッチ
カルロス・エドゥアルド・ロブレド・プッチはアルゼンチンの犯罪史上、最も凶悪と言われた連続殺人犯であり、わずか19歳にして”たった”1年程の間に11人を殺害した。
20歳になった直後の1972年2月4日に逮捕されると、その端正な顔立ちと行った数々の犯罪から「死の天使」「黒の天使」と呼ばる事になる。
アルゼンチンの労働者階級のもとで生まれた彼は19歳の1971年3月15日に共犯者と共にディスコで強盗を働き逃亡中にディスコの所有者と見張り人を射殺。この事件を切っ掛けにありとあらゆる犯罪行為に堰を切った様に手を染めていき、逮捕される1年間にも満たない間に殺人:11件。殺人未遂:1件に強盗:17件。強姦/性的暴行が各1件。誘拐/窃盗が各2件とあらゆる犯罪をコンプリートした奇人。
共犯者であり彼の被害者の1人であるには、胸を裂き、顔を殴打して火を点けて燃やし殺すという凄惨な殺害方法をとっており猟奇的な面も持ち、短期間に集中して犯罪を犯した異常性と”アルゼンチン”という地理特性からランクイン。
逮捕されたカルロスは連続殺人犯として終身刑になり、現時点でも服役中。2008年に仮釈放の申請を行うも申請が認められる事は無く、20歳以降の人生を刑務所の中で過ごしている。
「カルロス・エドゥアルド・ロブレド・プッチ」がモデルの映画:『永遠に僕のもの』
永遠に僕のもの | |||
公開日 | 2018年5月11日(仏国) | ||
2019年8月16日(日本) | |||
配給 | 20世紀フォックス | 上映時間 | 118分 |
監督 | ルイス・オルテガ | 脚本 | セルヒオ・オルギン |
CAST | |||
カルロス・ロブレド・プッチ | ロレンソ・フェロ | ||
ラモン・ペラルタ | チノ・ダリン | ||
アナ・マリア・ペラルタ | メルセデス・モラーン | ||
ホセ・ペラルタ | ダニエル・ファネゴ |
▼あらすじ
1971年のアルゼンチン・ブエノスアイレス。美しい少年カルリートス(ロレンソ・フェロ)は幼いころから他人のものを手に入れたがる性分で、思春期を迎え窃盗が自分の天職だと悟る。新しい学校で出会ったラモン(チノ・ダリン)と意気投合したカルリートスは、二人でさまざまな犯罪に手を染め、やがて殺人を犯す。
出典:Yahoo映画
実際に起きた犯罪を描いた作品でありながら、美しい映像に音楽。そして実話に追加された同性愛要素と「死の天使」と呼ばれた美しい容姿を持ったカルロスの犯罪を淡々と描く”青春ドラマ”の様な作品。そのため”実際の犠牲者を無視し主人公をひたすら美化する”と言われても致し方ない様な作品になっているのも事実。
史実である事を一旦置いてフィクションであったなら(大事な部分を置いておくのも、どうかと思うが…)罪悪感を全く感じない若さゆえのサイコパスを観る事が出来る素晴らしい映画。
第7位:ゾディアック事件
「ゾディアック」とは1968年~1974年にかけて発生した若いカップルを中心に少なくとも5名が殺害された連続殺人事件の事であり、犯人を指す言葉。犯行後に警察やマスコミへ多量の犯行声明文を送りつけたことから、「劇場型犯罪」として有名でありアメリカでも特に有名な未解決殺人事件として知られている。
劇場型犯罪の中でも特に多くのメディアに露出した事件であり、犯行後に犯人から電話がかかってきたり、大量の犯行声明や犯行を示唆する暗号文が送られてきたりと「史上初の劇場型連続殺人事件」とも呼ばれている事件であり、事件を重ねるたびに報道が過熱化。犯罪手法もエステートしていき、ついには市民も巻き込む社会現象となった。現在に至るまで真犯人についての証言や主張が多く寄せられている。
実際に、「Z340」(340文字のアルファベットと記号が並んでいることからこう呼ばれる)というゾディアックから送られた暗号文については、51年の歳月を経て2020年に解読されていたりと、今なお関心が深い事件である事がわかる。ちなみに暗号文は4通送られており、現状でも3通の解読は出来ておらず謎のままとなっている。
1986年にサンフランシスコ・クロニクルで風刺漫画家として在籍していたロバート・グレイスミスが事件について独自の調査を行った『Zodiac』という本を出版し、こちらの内容をベースに映画などに展開がされている。
「ゾディアック事件」がモデルの映画:『ゾディアック 』
ゾディアック | |||
公開日 | 2007年3月2日(米国) | ||
2007年6月16日(日本) | |||
配給 | パラマウント映画 | 上映時間 | 158分 |
監督 | デヴィッド・フィンチャー | 原作 | ロバート・グレイスミス |
CAST | |||
ロバート・グレイスミス | ジェイク・ジレンホール | ||
デイブ・トースキー | マーク・ラファロ | ||
ポール・エイヴリー | ロバート・ダウニー・Jr | ||
ウィリアム・アームストロング | アンソニー・エドワーズ |
▼あらすじ
1969年、自らを“ゾディアック”と名乗る男による殺人が頻発し、ゾディアックは事件の詳細を書いた手紙を新聞社に送りつけてくる。手紙を受け取ったサンフランシスコ・クロニクル紙の記者ポール(ロバート・ダウニーJr)、同僚の風刺漫画家ロバート(ジェイク・ギレンホール)は事件に並々ならぬ関心を寄せるが……。
出典:Yahoo!映画
後にマーベル・ヒーローとなるジェイク・ギレンホール/ロバート・ダウニーJr/マーク・ラファロという豪華な俳優陣と『ファイト・クラブ』や『ゴーン・ガール』と言ったサスペンスやサイコホラーの巨匠であるデヴィッド・フィンチャーが監督を務めた作品。
未解決事件を”映画作品”でありながら未解決のまま終わらせながらも、犯人にのめり込む主人公たちと徐々に明かされる事件の展望など、3時間近い長い作品であるものの最後まで適度な緊張感が維持され見応えのある作品。観終わったらきっとWikipediaで事件の事を調べるハズ!
因みに同時期に公開されている9位にランクインさせている未公開事件を題材にした『ブラック・ダリア 』についてもデヴィッド・フィンチャーが監督になる可能性もあったそうだが、同時期という事もありその話は無くなった。
第6位:デイビット・パーカー・レイ
デイビット・パーカー・レイは1950年代~1999年に至るまで、ニューメキシコ州で誘拐/拉致した女性に浣腸や性具を挿入するなどの拷問を加えて少なくとも14名の女性を殺害した犯罪者。このあたりから異常性が跳ね上がる…。
デイビット・パーカー・レイ自身の異常性は”拷問を加える”事にあり、自身が「おもちゃ箱」と呼ぶ多くの拷問道具や拘束道具が詰め込まれた10万ドルもの大金を投資したトレーラーハウスで監禁した女性を拷問具で痛めつけ、その様子を録音して楽しんでいたという。更にこの事件が”異常”なのは「共犯の存在」にある。最終的にはこの”共犯”により、自らの罪が明るみに出る事になるのだが共犯の面々が、逮捕時レイのガールフレンドだったシンディ・ヘンディに実の娘のグレンダ・ジーン・レイというのが狂気を感じる。
※レイは娘の罪を軽くする代わりに罪を認める司法取引に応じ、結果として娘は懲役9年の執行猶予6年。保護観察5年の刑に処された。
そんな事件も1999年3月22日の午後、アメリカ合衆国ニューメキシコ州の砂漠地帯で被害者の一人であるシンシア・ヴィジルが裸で全身を負傷し鎖のつながった南京錠つきの首輪をつけたた状態で保護された事から明るみになり、レイは逮捕。
FBIは100人もの捜査員が捜査するも証拠を見つける事は出来ずレイは無罪を主張するも、先の2人の共犯者の証言により裁判で懲役224年の刑が確定。しかし刑にほぼ服す事無く2002年に心臓発作によって死亡している。
50年近くに及ぶ犯罪史上でも稀に見る長年の犯罪行為で拷問中に死亡した人数は数十名に上ると推定されているが、死亡していなくとも薬物を投与され記憶を曖昧され立件出来ない状態の被害者も存在し、暴行事件を含めると被害者の数は相当な数になると思われる。
「デイビット・パーカー・レイ」がモデルの映画:『ロードキラー 』
ロードキラー | |||
公開日 | 2001年10月5日(米国) | ||
2001年11月23日(日本) | |||
配給 | 20世紀フォックス | 上映時間 | 97分 |
監督 | ジョン・ダール | 脚本 | J・J・エイブラムス |
CAST | |||
ルイス・トーマス | ポール・ウォーカー | ||
フラー・トーマス | スティーヴ・ザーン | ||
ヴェナ・ウィルコックス | リーリー・ソビエスキー | ||
ラスティ・ネイル | マシュー・キンブロー |
▼あらすじ
ボストンの大学に通うルイスは、ネブラスカへの帰省ついでにコロラドに住む幼なじみヴェナを拾い、大陸横断ドライブを楽しむことを計画する。だが母から連絡が入り、釈放された兄フラーをソルトレイクシティで先にピックアップすることになった。強引なところがあるフラーはルイスをけしかけ、無線で女のふりをしてひとりのトラッカーをからかい出す。しかし悪戯が度を過ぎた頃、ラスティ・ネイルと名乗るそのトラッカーの異常ぶりが明らかになる。やがて二人はヴェナと落ち合うが、それは“恐怖のドライブ”の幕開けだった……。
出典:Yahoo映画
あらすじでも分かるように犯罪者「デイビット・パーカー・レイ」を描いた作品でなくあくまでも作中に登場する殺人鬼の”モデル”の1人となった作品であり、いかにもアメリカ映画と言う様な内容になっているサスペンス映画。ちなみに他のモデルは実在のトラック運転手殺人鬼であるロバート・ベンローデス(今回はレイと被る為ランクインしていないが、50人以上の女性を拷問、強姦、殺害した正真正銘の狂人であり、『ミッドナイト・キラー』(2021年公開)のモデルにもなっている)。姿なき殺人鬼に追われる恐怖を描いた物語でありハラハラ出来る”言い方は悪いが”B級映画となっており、そう思ってから見ると楽しめる作品。
今は亡き若かりし頃のポール・ウォーカーを見ることが出来る作品であり、上映こそされていないが2作目『ロードキラー マッドチェイス』も日本でDVD発売されているので”あまりいない”と思いますが、気になる方は是非。
第5位:ブッチャーベイカー(屠殺パン屋)
ブッチャーベイカーとはパン屋を営んでいたロバート・ハンセンに対する犯罪者としての呼称であり、彼が1971年~1983年のアメリカ アラスカ州で起こした少なくとも17名を殺害した連続犯罪事件。
ロバート・ハンセンの起こした一連の事件は単純な連続殺人ではなく、被害者である売春婦や家出少女を拉致しアラスカの荒野に放ったあと自動小銃を使って狩猟の獲物のように撃ち殺すという自身の快楽を達成するための猟奇的な殺人事件であり、他の快楽殺人者と同じく被害者に対して性的な暴行も加えている。
彼が犯行に至ったのは、吃音と成人した後も痕になって残ったニキビ跡のせいで酷く鬱屈としており学校で人気者の女子たちから避けられていた過去が、女性に対しての”ハンティング”という形で発露した結果と言われている。また、この手の犯罪者に多いが日常生活では結婚をしており近隣住民からの評判も良い人物であり、他者から見れば善良な市民だった。
1983年に半裸で手錠を掛けられた状態のまま脱出した17歳の売春婦シンディ・ポールソンを通りかかったトラック運転手が保護し通報。家宅捜索の結果、行方不明の女性が身に着けていた宝石類や犯行に使用したライフルが発見され逮捕される事になる。逮捕後、警察が証拠を持っていた4人の殺人について有罪を認め、他の犠牲者についての詳細を提供する代わりに死刑を免れる司法取引により最終的には17名の殺人が発覚(実際には30人以上のアラスカの女性を襲撃し、強姦)。ハンセン自体は終身刑(刑期:461年)を言い渡されアンカレッジのアラスカ地域病院で、75歳で死亡している。
「ブッチャーベイカー」がモデルの映画:『フローズン・グラウンド 』
フローズン・グラウンド | |||
公開日 | 2013年8月23日(米国) | ||
2013年10月5日(日本) | |||
配給 | ライオンズゲート | 上映時間 | 105分 |
監督 | スコット・ウォーカー | 脚本 | スコット・ウォーカー |
CAST | |||
ジャック・ハルコム | ニコラス・ケイジ | ||
ロバート・ハンセン | ジョン・キューザック | ||
シンディ・ポールソン | ヴァネッサ・ハジェンズ | ||
ライル・ホーグスベン巡査部長 | ディーン・ノリス |
▼あらすじ
1983年冬のアラスカ、モーテルの一室で拘束され半狂乱になっている娼婦(ヴァネッサ・アン・ハジェンズ)が保護された。彼女はボブ・ハンセン(ジョン・キューザック)という男に危うく殺害されそうになったと主張するが、模範的市民のボブを警察は疑おうともしない。同じ頃、身元がわからない少女の惨殺体が発見され、事件の担当となった巡査部長ジャック・ハルコム(ニコラス・ケイジ)は、ハンセンが一連の事件の犯人ではないかと疑うが……。
出典:Yahoo!映画
事実をベースに脚色を加え映像化した作品。実犯罪ベースのサスペンス映画の様だが、サスペンスというよりも「猟奇犯罪に対し物的証拠が乏しい中、有力な容疑者を”刑事はどのように”追い詰めるのか?」といった所に主眼がおかれたサイコスリラー作品。
保護され犯人から逃げることが出来たシンディ・ポールソンが自ら危険に飛び込むの事にイラっとしたり、逮捕・起訴まで”どうやって”持っていくかに対する内部側のイザコザにモヤっとする場面もあるが、ラストまで緊迫感があり、構成がわかりやすい映画。
第4位:カール・パンズラム
カール・パンズラムは、1920年~1928年の8年の間に南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカを股にかけ少
なくとも22人を殺害したアメリカの連続殺人犯。
カール・パンズラムは他の快楽殺人者とは異なり、貧しい農場の一家で育ち14歳のときホームレス達から集団強姦に遭い、自らの犯罪に起因するのだが入隊した陸軍で、わずか数カ月で軍法会議へ送致され3年の懲役を言い渡されるなど自分の人生が上手くいっていない事=社会に対して激しい憎悪・力こそ正義という思想を抱いたこと。また憎悪を隠せない自分自身に対する嫌悪が一連の犯罪の動機となっている。
その犯行は殺人だけではなく強姦、放火、窃盗 などの数多くの犯罪に手を染め、収監されるたびに脱獄。また犯罪行為自体も残酷でより多くの人間を殺そうと貯水池に毒を流したり、米英間に戦争を引き起こすためイギリス軍艦を爆破しようと企てるなど狂った思想の持ち主である。赴くままに自棄的に犯罪を行う異常性と暴力性をはらんだ犯罪者であるが、先にも書いた通り快楽殺人者ではなく同性への強姦を行っているが同性愛者ではなかった。
その一方でカンザス州レブンワースの連邦刑務所に収監されていた際には着任したばかりの看守ヘンリー・レッサーと知り合い親交を深め友情を育む等、不思議な魅力を持った人物でもあった。この看守ヘンリー・レッサーとのやり取りにより、パンズラムは手記を書く事となり、書かれた手記は1970年にレッサーの手によって出版されロングセラーとなっている。
1928年に武装強盗で逮捕された際には供述で「22人を殺し、1000人の男性と肛門性交をした」と豪語し、投獄された後にも洗濯場の作業監督を鉄棒で殴り殺す。パンズラム自身が死刑を望みその様な行動を取ったとも考えられるが、実際にパンズラムは精神異常とされないように気を遣った行動を取っていたそう。最終的には望んだとおり1930年に死刑を宣告され、絞首刑に処され死亡。
最期の言葉は「さっさとしろよ、田舎者め。おまえがもたもたしてるうちに、俺なら10人は殺せるぞ!」
「カール・パンズラム」がモデルの映画:『KILLER/第一級殺人』
KILLER/第一級殺人 | |||
公開日 | 1996年9月6日(米国) | ||
1996年3月2日(日本) | |||
配給 | Legacy Releasing Corporation |
上映時間 | 91分 |
監督 | ティム・メトカーフ | 脚本 | トーマス・E・ガディス |
CAST | |||
カール・パンズラム | ジェームズ・ウッズ | ||
ヘンリー・レッサー | ロバート・ショーン・レナード | ||
エスター・レッサー | カーラ・ブオノ | ||
チャールズ・ケイシー | スティーヴ・フォレスト |
▼あらすじ
1920年代に実在した殺人犯カール・パンズラムに焦点を当てた実録風の人間ドラマ。1929年、カンザスのレヴェンワース刑務所に着任したばかりの若き看守ヘンリー・レッサーは、カール・パンズラムという囚人と出会う。パンズラムは22人もの犠牲者を出した大量殺人犯だったが、情けをかけてくれたレッサーに自分の犯行を記録させて新聞社に売り込めと言う。こうしてパンズラムに紙と鉛筆を差し入れたレッサーは、彼の生立ちから数々の殺人まで、彼の独白を目にする事になる……。
出典:allcinema
オリバー・ストーンが製作総指揮を務めた、実話をベースに所々に脚色を入れ物語にメリハリを付けつつ、ハイクオリティーに仕上げた犯罪映画。と言えば聞こえは良いが、先にも紹介した『永遠に僕のもの』と同様に実犯罪を取り上げる上では”犯罪者賛美“とも捉えられかねない内容になっているのも事実。
「もっといい人に出会っていたら…」子供時代の周りの環境の大切さとか、そんな事を改めて知れる作品でもあるので、こちらも一旦史実である事を置いておいてヒューマン・ドラマとして観るのがおススメかも知れない。
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