MCUのドラマシリーズ第一弾として登場した『ワンダヴィジョン』。昔ながらのシットコム (シチュエーション・コメディ) の体でストーリーが展開されていくのですが、各話には意味深な“謎の”CMをシットコム中に放り込んできます。
意味が分かれば「なるほど!」となる、このCMですが、意味が分からないと非常にモヤモヤする仕様になっているので、もし意味が分からない…。となった場合は、この記事を確認してスッキリして貰えると幸いです!
第一話「公開収録でお送りします」に登場するCM
ワンダヴィジョンの第一話「公開収録でお送りします」の本編開始からちょうど10分が過ぎた頃に流れる架空のCMが「『スターク・インダストリーズ』のトーストメイト2000」のCMです。男女2人が登場しトースターの紹介をする今で言う通販CMの様なコマーシャル。
もちろん、こちらに込められているMCUのキーワードは『スターク・インダストリーズ』。
本編に登場したCMの内容を文字で見ていくと、原文が結構字幕では割愛されている事が分かりますが、割愛されいる部分に大きな影響がる様なキーワードは含まれていないので大丈夫です。
※open-faced cheese sandwiches:挟んでいないチーズサンドイッチ。訳の通り”まんま”チーズトースト
この第一話に登場した『スターク・インダストリーズ』は、皆さんご存じのアイアンマン/トニー・スタークの会社。紛争地スコヴィアに生まれたワンダの日常を変えたのが、この『スターク・インダストリーズ』が製作/販売をしていたミサイル。自宅に直撃し不発弾だったので爆発こそしなかったが両親が死亡。この出来事から彼女は幼少の頃からトニー・スタークへ強い恨みを持っていました。
そんな『スターク・インダストリーズ』のコーポレートアイデンティティ※は”あなたの未来を作ります(This is the future.)”。良くも悪くもワンダの運命を転換させた『スターク・インダストリーズ』らしい、第一話目に相応しいCMでした。
※コーポレートアイデンティティ:資生堂の「一瞬も一生も美しく」。サントリーの「水と生きる」の様な企業側発信の企業イメージ。
ちなみに、『ワンダヴィジョン』の第一話/第二話は白黒で描かれていますが、このCMのカラータイマー(?)は、赤色に点滅しています。見逃した方は、もう一度是非!この赤点滅の表す意味については、後ほど紹介をさせて頂きます!
第二話「チャンネルはそのまま」に登場するCM
ワンダヴィジョン第二話「チャンネルはそのまま」の16分が過ぎ流れるCMがこの『ストラッカー』の腕時計CMです。
このCM文字量が少なく、言いたいのは勿論”ストラッカー“。
“ストラッカー“って??となった方もいるかと思いますので、”ストラッカー”の紹介をさせて頂きます。
ストラッカーとは、この人。
『』で登場したヒドラ のメンバーであるバロン・ストラッカー。ワンダとピエトロに人体実験を行った張本人です。
よく見るとこのCMに登場する腕時計の文字盤にはヒドラのシンボルマークと”HYDAR”の文字が。
ちなみに、CM内で流れているセリフは上記の通り。
ほとんど日本語字幕でも原文から削られている部分はありませんが、最終行の「ストラッカーは常に時を刻む」の部分の原文が”He’ll make time for you“と彼になっているのが何とも。
※物にもheを使うこともあるので、一概にストラッカー本人を指すと言えない部分もありますが…。
第三話「カラー放送」に登場するCM
ワンダヴィジョン第三話「カラー放送」でも10分過ぎにCMが流れます。
流れるCMは『ヒドラ・ソーク 女神の入浴剤』。第3話からカラー放送になった事もありCMのイメージも明るく女性が主体に。
今回の商品は入浴剤の「ヒドラ・ソーク」。まんまですが、ヒドラがこのCMのキーワード。
パッケージにも”タコ”に見えますがヒドラのマークのシルエットが複数描かれ、またその形や色は4次元キューブを思わせる色と形になっています。
また、日本語訳では「家にいながら 安らぎのひと時を」となっている部分の原文は「When you wanna get away, but you don’t wanna go anywhere.」直訳すると「どこかに逃げたしたい。でも、どこにも行きたくない」という事で、ワンダの心理状態が反映されているCMともいえます。
第四話「番組を中断します」に登場するCM
登場するCMと書いておきながら、第四話ではCMは放送されません。
タイトル通り、第4話はS.W.O.R.D側の話がメインで第3話までの内容について外の世界から見た種明かしの回のため、番組が中断されているのでCMもありませんでした。
第五話「問題エピソード」に登場するCM
第5話「問題エピソード」では、舞台が再びシットコムの世界に戻りCMも復活。
これまでより遅めの26分ごろにCMが流れます。これまで第2話/第3話と”ヒドラ”関連のCMが流れていましたが、今回は時間軸が一気に飛び紹介されているのは“ラゴス”の紙タオル。
ラゴスとは、間違いなくMCUで登場していたナイジェリアの最大の都市であるラゴスです。
映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の冒頭で、ラムロウ(クロスボーンズ)率いるヒドラが生物兵器を奪おうとし、キャプテン・アメリカ率いるアベンジャーズがそれを阻止するのだが…最終的にはラムロウが、キャップや市民を巻き込んで自爆しようとしするのを、ワンダがテレキネシスでラムロウの自爆を抑え込むも、市民がいるビルの近くで爆破させてしまった事で一般市民にも死傷者が出てソコヴィア協定の切っ掛けになった場所です。
CMの紙タオルが汚れをふき取るように、このラゴスでの出来事はワンダにとっても綺麗にしたい過去の汚点。好きで失敗したんじゃない(For when you make a mess (which) you didn’t mean to (do).)という言葉も納得です。ニュアンス的には開き直っているので、今現在のラゴスに対する心情も今となっては消し去りたい汚点ではあるものの、過去として開き直っているのかも!?
第六話「ハロウィーンの不気味な夜に」に登場するCM
第6話「ハロウィーンの不気味な夜に」でもCMは登場します。
本編開始から12分過ぎ。今回のCMについては、これまでの計4回のCMとは異なり「スターク・インダストリーズ」「ストラッカー」「ヒドラ」「ラゴス」などの過去MCUで登場したワンダに関連するキーワードは出てきませんし、登場人物もこれまでの実写では無くクレイ・アニメーションに変更されています。
更には、食品のコマーシャルなのにも関わらず最終的には食べられずに死ぬという何のPRにもならないCMになっています。
これまでのCMと違いMCUに関連するキーワードが出てこない為、表面的な情報は少なく単純に”ヨーマジック”という商品のコマーシャルになっている。
その中でポイントになるのが、最後の商品がアップになった時のサメのナレーション「ヨーマジックで生き延びな(Yo-Magic!The snack for survivors!)」。これも原文で無いと意味を成さないのだが…直訳すると「ヨーマジック! サバイバーのための食べ物」と字幕と少しニュアンスが異なる。
またカタカナで書くと良く分からない“ヨーマジック”だが、英語表記は“Yo-Magic”。この“Yo”は”Your”の米英語の略語(”You”を“U”と略すようなもの)なので、”Your Magic=あなたの魔法”を意味していると思われます。
「自分の魔法の力を使って生き延びろ」というワンダに向けたメッセージだったのか?「魔法を使えば生き残れる」と唆すサメは、この後の第7話で登場するアガサ・ハークネスを示唆しているのだろうか?
第七話「第4の壁を破って」に登場するCM
第7話「第4の壁を破って」のCMが『ワンダビジョン』で出てくる最期のCMになります。
こちらのCMも第5話「問題エピソード」までのCMとも毛色が違います。
このCMで登場する重要なキーワードは“ネクサス(Nexus)”。このキーワードはこれまでのMCUでは「NEXUS Internet Hub」と言う施設名以外では登場しておらず、初めて登場するキーワードになっています。
これまでの第5話までのCMが過去。第6話のCMが現在(過去かも)を表しているのに対して、第7話「第4の壁を破って」のCMは未来を表している形になってると思われ明らかに異質です。
ここで登場するネクサス(Nexus)とは原作コミックで別次元同士を繋ぐゲートの名前であり、多次元をつなぐ力を持った人物は「ネクサス・ビーイング」と呼ばれ、コミック版ではワンダはこのネクサス・ビーイングの一人になっています。
更には上記の原文のセリフから、この”ネクサス”を利用するには、医者(doctor)の診断が必要であるらしい事が書かれていますが、MCUの世界で医者と言えば“ドクター・ストレンジ”でしょう。2022年3月25日(金)に米公開を予定している『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス(原題:Doctor Strange in the Multiverse of Madness)の予告でも原作コミックでネクサス・ビーイングであるワンダが重要なキャラクターとして登場してますし、未来への予告と思って問題なさそうです。
第7話のタイトルにもなっている”第4の壁を破って”視聴者に予見しているのでは無いでしょうか?
※第4の壁:第四の壁は、舞台と客席を分ける一線。TV番組内のキャラクターと視聴者との間にある見えない/超えられない壁
第八話「前回までは」に登場するCM
登場するCMと書いてみたものの、CMがあるのは第7話「第4の壁を破って」までで第8話の「前回までは」にはCMは登場しません。
しかし、これまでの第5話までのCMの答え合わせの様なシーンが登場します。
それが、第1話「公開収録でお送りします」に登場した『スターク・インダストリーズ』のトーストメイト2000のCM。白黒で描かれた第1話の中でCMに登場するタイマー部分が赤く点滅するシーンは、第8話「前回までは」でワンダが過去を見返すシーンで似たこのシーン。
なお、先にも書いた通り最終話である第9話「シリーズ最終回」にもCMは登場しません。
最後にこの『ワンダヴィジョン』に登場するCMの共通項を紹介します。
『ワンダヴィジョン』に登場するCMの共通項
『ワンダヴィジョン』に登場するCMは、これまでや、これからのワンダの身に起きた/起きる事を示唆している事は周知の事実だと思いますが、もう一つしっかりした共通点があります。
それが、CMに出演した俳優さんです。エンドロールにも女性は「Commercial Woman」。男性は「Commercial Man」とクレジット、それぞれヴィクトリア・ブレイド (Victoria Blade)、イタマール・エンリケス (Ithamar Enriquez)が「Yo-Magic」のCMで共通して出演しています。
各話で舞台上の年代が異なるので、気付きづらいですが同じ俳優が演じていました。もしかしたら彼ら/彼女たちもMCUの今後の作品に登場するかもしれません…。
『ワンダヴィジョン』に登場するCM:まとめ
という訳で、ここまで『ワンダヴィジョン』に登場するCMを原文と字幕と合わせて説明してきましたが、スッキリされましたでしょうか?
色々な内容がCMに散りばめられているので、このページで少しでもスッキリして頂ければ幸いです。
MCUの作品は結構色々な所で手が込んでいるので、皆さんも他作品でも色々と考察してみては?!
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