2018年公開の映画『シンプル・フェイバー(A Simple Favor)』の作品紹介と簡単なあらすじ。感想とネタバレを含んだ考察を公開しています。
作品紹介
監督ポール・フェイグによるサスペンス映画。
主演は『マイレージ、マイライフ』でアカデミー助演女優賞を獲得したアナ・ケンドリックと『ゴシックガール』のブレイク・ライヴリー。
本作はダーシー・ベルの小説『ささやかな頼み(英語版)』を原作としている。
あらすじ
ニューヨーク郊外に住むシングルマザーであり、ママさんブロガーであるステファニー(アナ・ケンドリック)は、同じ幼稚園に子供を預けるエレガントでミステリアでバリバリのキャリウーマンのエミリー(ブレイク・ライヴリー)と出会う。
ステファニーは劣等感的なものも感じつつ、自立し自分とは対照的なエミリーに惹かれていき、少しいびつではあるが友情関係を築いていくのだった。
そんなある日、ステファニーはエミリー簡単な頼み(simple favor)を受け、彼女の息子を学校に迎えに行くことに。
ところがいつまでたってもエミリーは息子を迎えに来ず、音信不通に。そのまま行方不明になってしまう。
ステファニーはブログでもエミリーの情報を募るが、最悪の知らせが彼女に届くことになってしまう…。
感想
エミリー役のブレイク・ライヴリーがカッコいい。適役。
『アデライン、100年目の恋』同様に、今作品でも写真はダメ!
序盤はステファニーのちょっとたるい「自分語り」や、その行動の過剰さ。
周囲からの好奇の目で見られている事に気づかず、エミリーに良い様に使われているステファニーにイライラ。また”女性ってこういうの好きでしょ?”感の強いゴシップドラマ風展開がつらい部分もありましたが、エミリーが失踪してステファニーが真相解明に向かっていくと大きく転換し、いい意味で裏切られました。
詳細についてはネタバレになるので割愛しますが…。サスペンスとしてみると結構、ありきたりなネタになるのですが、主演2人の好演と、ステファニーがどんどん強くなって周りを巻き込んで、周りも変わっていく様子など、サスペンス以外の要素も強くコメディタッチなサスペンスとしては、バランスも良く楽しく見れました。
普通のサスペンスよろしく、常にハラハラ…。という訳ではなく「軽い気持ち」でも見れるので、”サスペンスが見たい!”という人には足りないかも知れませんが…。
上記の理由からも、賛否はあるかと思いますが個人的には良作。
ドタバタ物が好き!でも甘ったるいのは…。みたいな感じの人にはもってこい。
軽い気持ちでハラハラしたい人にもオススメ出来る作品。
レビュー的なSomething(ネタバレ)
①エミリーの写真嫌い
感想でも書きましたが、『アデライン、100年目の恋』同様に今作品でも写真はNGなブレイク・ライヴリー。
理由は違うのですが、「本当の自分を知られたくない」というのは同じく。
『アデライン、100年目の恋』を見てたら、また”年取らないの?”ってなります。
ちなみに、写真を嫌がる理由は過去を知られるのが嫌だから。映った写真から双子と気付かれるとマズいから。なのですが、まぁそれを知るまでは見てる側に色んな想像の幅を持たせる演出だなぁと。
②主演の2人の対比
・ステファニー:自分が無く流されやすい。バリバリの田舎娘。職業、ブロガー。どちらかといえば常識人。小柄。
・エミリー :我が強い、ってか強すぎる。ニューヨーカー。バリバリのキャリアウーマン。サイコ。モデル体型。
と真逆の二人の友情から破綻。そしていがみ合いという流れと二人の関係性。
第三者を通じて分かる、二人の性格の対比が良い味出してます。
ちなみに、二人のニックネームは「ブラザー・ファッカー」に「シスター・キラー」。
ここもあまねく、対比構造ですね(笑)
その過程でのステファニーの考え方や、行動がエミリーに寄って来る所も面白い。
後、終盤にエミリーが旦那のショーンに対して「友人と寝ろとは言ってない」というシーンがあるのですが、それまで友人関係という体の主従関係ぽかったのですが、エミリーが”友人”と思っていた事が分かったのは何気に良かったです。
※英語能力が英検2級で止まっているので、原文では意味合いが違うかもですが…。
今作品での主演2人は、役柄も配役も本当にピッタリ。この2人だから成立している感が強い。
逆に言えば、この2人じゃなかったら「ダメな作品」。
③全てが許されるテンポとバランス
この作品で何が良かったかと言えば、話の展開の”テンポ”とサスペンス要素とコメディ要素の”バランス”に尽きる。
この作品自体のサスペンス要素は、説明しちゃうと
「実は死んだと思っていたエミリーは双子で、死んだのは姉妹の方。双子だから志望鑑定でもDNA同じでばれないの!」
っていうそれだけ。日本の2時間ドラマでも擦られまくって目新しさの無い”話”。
だけど、二人の掛け合いやステファニーの探偵ごっこ。所々にあるコメディー要素や終盤の二転三転する登場人物の敵味方のふり幅で気にならないのがこの作品。
これが普通のサスペンス映画だったら、すごい駄作なのに、それを凌駕する展開はすごい。
テンポの良さで、物語の雰囲気もポップで、個人的には細かい部分の「?」な要素も気になりませんでした。テンポって本当に大事。とは言え、細かいところを指摘すると凄くいっぱいあるので注意。捨てたハズのクローゼットの衣類が元の位置に戻ってたり、お葬式の後の二人の情事を知ってたり。
誰にも見つからない様に、且つ結構な作業量をコソコソ、エミリーがしてたの?とか。
どこでのぞいてたの?とか。
④ムービーブログ
話の展開はステファニーのブログを通じて語られるのですが、当初ステファニーのブログの内容はだれが見るの?(お前が言うなですが…。)っていうようなレシピブログだったのですが、エミリーの失踪からはレシピ+エミリー追跡チャンネルに。
エミリー追跡チャンネルを追加した事で、フォロワーは急増。
最終的には、エミリーにも私のお陰で100万人フォロワー達成したわね。おめでとう的な嫌味を言われるまでに。
何より終盤このブログを使ってエミリーだけに分かるように”私は双子だと知ってるわよ”的なメッセージを発信するんですが、その頃にはブログ上(外面)ではいつものステファニーですが、性格上はいい子ではなく配信終了後に中指を立てまくるわ。ゴリゴリにヒップホップ歌いだすわで、大分と性格が変わってるんですよね。
こういう変化を序盤から通じてあるアイテムを通して見せるのは面白いなと。
最終的に、エミリーの自供を”こっそり”生配信するというブロガー冥利に尽きる事をやってのけるのですが、このシーンではその手法よりも、ブログを見ていたパパ友が助けに来るという一連の流れが、ストーリーを通じて発信されるブログ。またその時間経過とともに増えるフォロワー。フォロワーからの情報などの援助で真相に近づく。という流れそのままでスッキリ。
実際、生配信していると思ってましたが、その後の展開は予想外でした。。
どうでもいいけど、車に跳ね飛ばされるシーンはすごい。
どんなスピードでひくのよ!!!
⑤実話臭いエンディング
この映画名で検索すると、サジェストキーワードに”実話”と出るんですが、これはエンディングの語りが、ノンフィクション物だからで、原作が小説なので”実話”ではないです。でもこういった演出もありですよねー。実際にノンフィクションって言われたら脚色しすぎとは思いますが、現実可能ラインですし。
ちなみに、エンディングで語られる2人の後日談は
・ステファニー:自身のブログを売り払って、探偵に。未解決事件を解決。
・エミリー :刑務所に服役。最終的には他の服役囚に混ざって、バスケットボール。
と、個性を生かして第二の人生を。という感じ。
⑥よく比較される『ゴーン・ガール』
原作が出版された時点で、『ゴーン・ガール』と比較されていたそうで、映画版もよく比較、というか「第二のゴーン・ガール」「女性版ゴーン・ガール」「ゴーン・ガールの続編」などという愛称を付けられてレビューされていますが…。
まぁ似通っている部分も多いです。
ただ雰囲気、トーンが大きく異なっているのと要所要所のコメディ要素とかでイメージは大分違うかと。『シンプル・フェイバー』の方がポップで、気軽に見れる。
気になる方は、両方みて比較してみては?
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